“源平の板”というと、
“杉”の“縁甲板”や“羽目板”をご存知の方以外あまり馴染みのない言葉ではないでしょうか?
“杉”や“桧”の丸太の切り口を思い浮かべると分かり易いのですが、
年輪の中心部は赤く見え、“赤身”と言います。
“赤身”は周辺部より硬く腐り難い成分が詰まっています。
一方、年輪の周辺部は白っぽく、“白太”と言います。
“白太”は、“赤身”と比べ軟らかく腐り易い部位といえます。
丸太を挽いて板にしたとき、
太い丸太の“赤身”の部分だけで板に仕上がれば“赤身の板”となります。
逆に“白太”の部分だけで板に仕上がれば“白太の板”となります。
両方混ざった、板の中央寄りが“赤身”で側部が“白太”の板を“源平の板”と言います。
赤と白が混ざってているので、源氏の白旗、平家の赤旗で戦ったことをなぞらえて“源平”といいます。

写真の木口が見える板の上が“赤身の板” 、下が“源平の板”になります。
ともに床板材で巾150mm、厚さ15mmあり、熱圧加工されたものになります。
さて、この“源平の板”ですが新築間もない頃は色の違いはくっきりしています。
大工さんが張ったばかりの時、引越して間もない頃は色の違いがハッキリしていて、
白っぽいところ、赤っぽいところ、赤白混ざったところがブチのように見えて、
「大工さん、もっと考えて張ってよ!」
と言いたくもなるほどです。
ところが、住み始めて5年にもなると、赤白の色の違いは目立たなくなってきます。

写真は、上の写真と同一場所です。
置き並べている床がまさしく“源平の床板”で、
“源平”だったところに“源平の板”を、
“赤身”だったところに“赤身の板”を置いています。
写真の撮りかたにもよりますが、5年近くにもなるとあまり分からなくなりました。
窓の光は入る部屋ですが、直射日光がまったく射さないのころででもこのぐらい変化しますから、南側の日が射す場所では、もっと早い時期に目立たなくなってしまいます。
“赤身の板”は腐り難い特徴があるので外壁や水濡れの恐れがある場所に向きますが、少し値段が高くなるものです。
(年輪の中心部だけなので希少性があって高くなるのは当然でしょう)
板のサンプルや新築直後床板を見比べると、色目が揃っている赤身の床が良さそうに見えますが、源平の床でも経年変化で色の違いが無くなることを理解していれば、見栄を張って無駄な出費をすることはないと思います。
我が家では、人目につく部屋だけ“赤身の床板”を張り、それほどでもない部屋には“源平の床板”を張っています。
我が家ではもっと選別していて、1階には熱圧加工された“赤身の床板”と“源平の床板”を張り、2階には地場の安価な超仕上げかんな加工だけの“源平の床板”を張っています。
※“熱圧加工”はまた別の機会に紹介します。