欠陥住宅考

この業界に長くいると、誰もが実にいい加減な業界としか見えない。

勤めた設計事務所は、実にいい加減な所長で工務店や建設・住宅会社と結託して違反建築の片棒を担いでいた。(担がされていた。)


身近にまともな施工業者が少なかったことと木造軸組みの耐震技術が未発達だった為に、自宅の新築は某超有名ハウスメーカーに依頼したものの、着工からトラブル続きで完成時には「社長を連れて来い!」状態の泥沼に!
一応、不良箇所を全部直させた上で遅延損害金名目で慰謝料を取って決着・・・
したものの、住み始めてからもトラブル・破損の連続。
そのたびに直させるも嫌気がさし15年足らずでぶっ壊した。
あれは、住まいとは言えない! ただの箱だ!


設計事務所という仕事をしていると、あちこちのハウスメーカーや建設・住宅会社で下請け経験のある大工さんや他の職人さんたちの生の話しを聞ける。
イチイチ列挙していたらキリのないほど唖然とする話しばかりである。
我が家の時もそうであったが、一般の方たちは“手抜き”や“不良”をそうとも知らずに、「イイ家を買った!」と喜んでいる。
それも、元請け会社、孫請け会社に搾取された原価半値以下のような粗悪な建物に巨額な建築資金あるいは住宅ローンを支払わされるのだから気の毒すぎる。


また、いろんな施工不良を見てくれと泣きつかれることもある。
見た目の上手い、下手は仕方のない面もあるかもしれない。
「とにかく安く上げてくれ」とか、「他の見積もりではいくらまけてくれた」とかで値切って工事を依頼したなら、それなりの大工手間賃の一番安い下手糞な下請け大工に仕事回されるであろう。
材料の品質が悪い!?
建材の1品1品まで品名・品番が記載された詳細な設計図や見積書を元に契約を行いましたか?ってことになる。
ほとんどがそうではあるまい。
建築確認が取れる程度の図面だけ、確認申請料はサービスあるいは20~30万円のところに工事を依頼するのが初めから無理というもの。
あとは、法令その他に規定された工法どおりに施工されているか?不足はないか?などを、外見や床下、天井裏、小屋裏に潜ってつぶさに調べて業者に突きつけるしかないのだが、善良な業者なら素直に非を認めて善処してくれるもののほとんどはそうではあるまい。
裁判所の調停、けりがつかなければ裁判。
その為の費用はかさみ、年月き流れ・・・疲弊するだけであろう。


すべては、いい加減な施工業者を選んでしまったところからである。
一見、地域で長年に渡って営業を続けている評判の良い建築業者さえも、法令を知らない、正しい施工方法を知らないことがあるから始末に悪い業界である。


因みに、施工業者とトラブルになるところを調べて欲しいとか、チェックリストはないかとか聞かれることがあるが、“餅は餅屋”で専門に調査するところがあるのでそちらにお任せするようにしている。

欠陥住宅考
私は、そうした欠陥住宅調査会社から指摘を受けることのないように、危ない施工業者とは付き合わないようにしている。
この不況時に、設計事務所の言うことを聞いてくれる善良な施工業者というのは無いに等しく、私の顧客は善良な個人大工さんと、私のところに設計を依頼に来てくださる一般の方のみである。
同業者から見れば「それだけで食っていけるのか?」だろうけど・・・
事実、食っていくには心もとないが、ちっとばかりの確認申請料で欠陥住宅裁判に巻き込まれて巨額な賠償金を施工業者と同罪に負わされ巨額の賠償金を支払わされるぐらいなら、仕事をしないで遊んでいるほうが被害は少ないと思っている。


常々、建築士は正当な報酬を、大工などの職人は正当な手間賃を貰えなければ仕事を請けないようにすれば欠陥住宅の無い世の中になると思っているのだが・・・
だれかが目先の欲に目が眩んで抜け駆けするものだから、確認申請報酬と大工の手間賃は下がり続けているのだと思っている。
一般人は、住宅を安く手に入れることができる。
浮いたお金で、大画面テレビを買おうだなんて考えていると、欠陥住宅をつかまされますよぉ!
気がつけばまだ偉いほうで、地震その他で壊れた時、あるいは取り壊し時に気がつく、それもないまま「イイ家だった」と思い続けていたりするのではないでしょうか?


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