長期優良住宅を振動実験で揺らしたところ、倒壊したという記事がある。
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実験では建築基準法が求める壁量の1.44倍を確保した木造3階建ての住宅を、同法で想定する地震を1.8倍に増幅した地震波で揺らしたところ、建物は倒壊した。
内陸直下型の大地震であれば、そのクラスの地震は起こり得る。
そういう意味では、「想定できる規模の地震」。
例えば、大阪の上町断層で内陸直下型地震が発生すると、ものすごく大きな地震になる恐れもある。
とすると、性能表示制度で、建築基準法の1.5倍の地震に耐える等級3のレベルで建築や住宅を建てたとしても、大地震が発生すれば倒壊や崩壊が起こり得る。
この記事から建物の崩壊プロセスを知るとともに、居住者の生命を守るには何を改善すればいいのかを考え直さなければならない。
建て主が求めている耐震性能のレベルは?
どのような基準に合致しているのか?
「わが社は耐震等級3だから安全だ!」と勘違いしている営業・技術者もいる業界だ!
なおさら一般の人に具体的にイメージできるように説明して伝えることは難しい。
一般のの多くの人は、建築基準法がどのような性能レベルになっているかまでは認識していないだろう。
ただ、震災が起こった時、命を守れるのは当然で、継続的に使用できることを求めている人は多いはず。
だけど同法の耐震レベルは最低限命を守ることまてで使えなくなるなんて、簡単には受け入れられないだろう。
ところが、建築業界人のなかには「基準通りにつくっている」から安心とか、安易に吹聴してまわっている。
建築のとくに中でも住宅建築の難しいところは、実物を造って地震実験をしてみることができないところだと思っている。
○○工法だ!
実大実験を繰り返して安全を確認しているメーカーもあるだろう。
だけど、実際に建てられる住宅は地形や地盤がそれぞれ違うところに建てられる。
実大実験とまったく同じ地震波が来ることはないに等しいだろう?
間取りも、形状もそれぞれ違うのだから、地震で揺すられ方も1軒1軒違うはずで、どこにどう作用してどこから壊れ始めるかもまったく違うものだろうと思っている。
だから、私は○○工法だからとか耐震等級○だから安心だという説明を建て主さんにはしていない。
また、頼りない建築士なので「これなら安心!大丈夫ですよ!」とも言い切ったことがない。
「これだけやって倒れるような地震がきたら、周りもみな倒れるだろうから仕方ないね。」
と、建て主さんに言ってもらえるまで安全に配慮した設計をするように心掛けている。
※『長期優良住宅が倒壊』でなく『長期優良住宅でも倒壊』が正しい表題だったでしょうか?
基準を満たしているから安全という保証はないということです。