このたびの東日本大震災から得た教訓は、過去の地震を想定した対策では足りなかったことだ。
特に津波への危機意識は、多くが甘かった。
想像以上の津波が来る危険性のある場所で、木造建築を建てることの難しさを思い知らされた。
じゃあ、鉄筋、鉄骨なら安全かといえばそうでもない。
開口部から流れ込んだ津波が内部のものをすべて押し流し去り、外壁をも壊して骨組みだけになってしまったり、その鉄筋・鉄骨まで折れ曲げられてしまうほどのすさまじい破壊力だった。
中には、鉄筋のビルが丸ごと横倒しにさえされてしまった。
だから、津波の危険な沿岸では『木造禁止』なんて声も聞こえたが、捻じ曲げられた鉄筋・鉄骨の骨組みだけが残されたほうが撤去が大変そうにもみえる。
それよりまして、高温多湿な日本では鉄筋コンクリート造は結露などの問題を抱え、快適に住まうことができないことは明らかだ。
明治・昭和・平成と度重なる津波に流されながらも「また、その地に家を建てたい」というインタビューを聞いた。
それって日本人のDNAなのか?
江戸の町も幾度とない大火に見舞われながらも、その都度同じように木造の町屋を建てて復興している。
西洋のような石の文化、アフリカの土の文化・・・
日本の木の文化は大火や津波にはひとたまりもないにもかかわらず、木の家にこだわり続けているのは『木の家』が一番暮らし安い気候風土だってことが、身体の中つまりはDNAに刻み込まれているにほかならないと思う。
まぁ、ホントのところは土の家では雨で流されてしまうし、庶民が石の家を建てられるほど安価な石材が日本列島にはなかったってことでしょうか?
木材は、大火で木材の需要が高まってはげ山になろうとも、苗木を植えさえすれば60年から80年で立派な建築用材に育つ、いわば再生可能エネルギーってことでしょうか?
化石燃料を使ったプラスチック素材多用の家は温暖化に逆行するだけでなく、ひとたび火事が発生すると有毒ガスで一家の多くが亡くなる惨事を引き起こしますから論外でしょう!

写真は愛・地球博公園にある“サツキとメイの家”