環境共生住宅が被災して

東日本大震災で液状化現象が多発した浦安市の一角。

大学教授&設計事務所所長の自邸がある。

“環境共生住宅”をテーマに14年前に建てられたエコ住宅だ。

可能な限り自立を目指した住宅なので、被災直後から役立ったことがあった。

環境共生住宅が被災して
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浦安市はあらゆるライフラインが寸断された。

3月11日、震災当日は帰宅難民だった。

なんとか帰宅した12日電気が復旧。

1週間後、上水道仮復旧。

都市ガス復旧は3週間後。


この家は、水道の復旧時には風呂に入れた。

太陽熱温水器に水を送ることでお湯がつくれた。

ただし、電気の復旧時には使えなかった。

地面近くに設置していた太陽熱温水器のポンプに、

液状化による水に浸かり漏電を起こしたため、

補修が必要だった。


下水道が使えないのに風呂が使えたのはオカシイって?

この敷地内には“浸透マス”を設けていて、

非常時なので石鹸使用を極力控えたうえで、

残り湯は浸透マスへ排水した。

我が家には、水道直圧式の太陽熱温水器があるので、

水道さえ復旧すれば1年中お風呂を使うことは可能だ。

ただし排水先がない。浸透マスは参考になる。


2階ベランダに設置した雨水貯留タンクは飲用には向かないが、

“中水”として洗濯用水に十分活用できたという。

水道復旧前は飲料水を配給に頼るのみで水は貴重だった。


浦安市は震災直後から下水の利用を禁ずる処置を講じた。

仙台市などでは水道復旧後から、破れた下水道管から汚水が溢れだし、

街中のいたるところに浸水、異臭を放っていたという。

浦安市では、被災地域各戸に簡易トイレを配り、

排泄物は可燃ゴミとして回収されたという。

こればっかりは仕方がないのか?

昔の農家のように畑に撒くというわけにはいかない。


浦安市の送電は比較的早く復旧されたが、

東京電力の計画停電の実施で電気への不安は消えなかった。

この家は、屋根に風力発電装置と太陽光発電パネルを備え、

電力を蓄電池(バッテリー)にためて庭の常夜灯などに使っていた。

(100Wで6時間使用可能なシステム)

ところが、蓄電池の保証期間5年だったが、

1台100万円と高額だったためにそのまま使い続けていて、

室内の設備や家電などには電力不足で結局ほとんど使えなかったという。

この点は、「原発はダメ、自然エネルギーで…」という風潮に、

一石を投じることになると思う。

(導入コストと維持するコストを誰が負担をするのか…?)

ただ、14年経った今でも、

4kwのシステムで日中は3kw発電することができるので、

携帯電話の発電など、生活上の安心感を生み出すことにつながったという。


液状化では、この家も不同沈下を起こして傾いた。

傾斜量は最大1000分の33にも達する。

建物が傾きながら全体が地盤に沈み込んでしまった。

(想定外だったのだろう?)

下水管が逆勾配になってしまった復旧と、

傾斜した住宅の水平化工事をしなければならないという。

ジャッキアップのみの耐圧板工事だけでも500万円は負担しなければならない。


そのほか、

もともと“環境共生住宅”として設計をしたので、

夏場の冷房が不要。

原発事故にともなう夏場の電力不安は心配ないそうだ。


我が家も、それほどシステマチックなものではないけれども、

夏・冬の断熱などを考慮して設計をしたので、

換気扇と扇風機さえ回すことができれば、

冷房をほとんど使う必要のない生活を5年間続けてきているので

同様に心配はしていない。

小屋裏収納とかロフトに夏の日中でも上がれますか?

私の書斎はそんなロフトにあって、頭上50センチ以内に屋根(天井)がある。

でも、我慢の時間帯はあるものの冷房を使うことなく過ごしている。


市街地にあって、いかに猛暑であろうとも、

若干の我慢をするだけでエアコンなしの生活が送れる住宅をつくることができる。

前述の“環境共生住宅”がそうであり、

我が家のように、そこまでシステマチックでなくても、

省エネルギー住宅をつくることはできる。

脱原発は、そうした環境が整ってからにしてもらいたい。

突発的な停電、計画停電だけは御免被りたいから。

冷房を使わない代わりに、扇風機は回したいから…


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この記事へのコメント
こんにちは
掛川市でも下水道が整備されていない地区が沢山あります。
かえって 下水道が整備されていない分
停電時でもトイレが使えるというメリットがありますね。
単独槽のトイレだと汚水が浄化されずに流れてしまう恐れがありますが
今では 合併処理槽が普及しているので
嫌気濾過槽が役に立ってくれると思います。
合併処理槽なら長期停電でも水を流すことが出来ますね。
さすがにエアーレイションをしないので能力は落ちると思いますが。
Posted by しか225しか225 at 2011年05月20日 12:53
こんにちは。

新浦安のマンション群なみに地盤改良工事や杭打ちを行なっていたら、ほぼ完璧だったかもしれませんね。
もっとも、一戸建てで、地盤改良にどれだけ費用を注ぎ込めるか…という問題もありますが。

マンションでも、浸透マスや雨水貯留タンクの設置は考慮に入れるべきでしょう。ただ、平常時の維持メンテ費用まで考慮すると、昨年の事業仕分けのようにバッサリ切られる可能性もあるわけで…


>脱原発は、そうした環境が整ってからにしてもらいたい。

同意です。
浜岡原発も、今停めるくらいなら、代替発電所建設やら何やらにエネルギーを回してもらいたいところです。
Posted by 浦安市民 at 2011年05月24日 15:09
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