これまでに2度書いたことではあるが・・・
2011/04/16 ベランダ手すり外れ妊婦転落、女児死亡…大家に賠償命令
http://youyou88.hamazo.tv/e2572182.html
2011/01/12 手すりの設計者責任
http://youyou88.hamazo.tv/e2436280.html
下記のような記事があった。
アパートの2階バルコニーで、布団を掛けていた手すりが外れて主婦がそこから転落し重傷を負った。
その結果7カ月の胎児が死亡した。
事件は1986年に建てられたアパートで、バルコニーの手すりの強度不足が原因という捜査結果であった。
警察署は、二級建築士が設計・監理者として注意義務を怠たったことに事故との因果関係があると判断し書類送検された。
このアパートの建設当時、建築士はこの建物を施工した建設会社の設計・工事監理の担当者として関与していた。
建設会社は1996年に廃業、この建築士は、現在はまったく別の仕事をしていた。
「手続なければ刑罰なし」。
これは法曹界における鉄則。
つまり、本件も刑事告訴がなされなければこのようなことにならなかった。
それが正式に受け付けられ、捜査が行われた。
その捜査書類が検察庁へ送られた。
刑事事件においては人権に係ることであるから、より厳格な証明が要求される。
四半世紀という時間の経過、そして、業務遂行時の建築士の立場などを考え合わせたときに、国家資格である建築士の責任の在り方について、改めて考えさせられる大きな出来事だ。
建築士の責任を考える上でターニングポイントとなり得る大きな事件といえるのではないか?
最低でも50年は安全・安心な建物を!
一言で言えば、「建築物の安全性を欠く瑕疵については、不法行為責任が成立する可能性がある」ということ。
落下物、滑りやすい床、手すりの高さや隙間、ドアの開閉など、安全性を欠いたために事故となったときには、施工あるいは設計・工事監理に係った者は、民法709条に規定される、「不法行為責任」を追及される可能性があるのだ。
重要な判例なので、建築物の瑕疵責任をめぐる紛争の中で、今後も繰り返し引用されることになるだろう。
「不法行為責任」の怖いところは、その時効が20年と長いこと。
正しくは時効ではなく「除斥期間」という法律用語が使われる。
時効のように中断されることはないとされる。
一方、刑事事件の場合には、検察官が被疑者を裁判所に訴える「公訴」のための時効として、「公訴時効」が定められている。
人を死亡させた場合には、その罪状によって、犯罪が終わったときから数えて10年、20年、30年と3段階の定めがある。(刑事訴訟法第250条)
死刑に相当する罪については30年であったが、2010年4月27日改正法の施行で時効は廃止になっている。
冒頭の転落事件は2007年4月に発生しているので、そこから時効のカウントは始まっている。
建築物は竣工引き渡し後、20年を越えているのだから、被害に遭った主婦には気の毒であるが、建築士に対して不法行為責任を問うことはできない。
工事請負契約上で、瑕疵担保期間を2年間に短縮したところで、それに縛られるのは契約の当事者たちだけであって、第三者が相手の責任問題については、まったく無力である。
加えて刑事事件の時効を視野に入れるとすれば、安全・安心に細心の気配りをし、30~50年はこうした問題の起きない建築物を提供する覚悟が必要となる。
ただし、30~50年後には必ず取り壊すということを条件にしておかないといけないということにもなるが・・・。
少なくとも竣工引き渡し後20年を越えたら、設計や施工の上での責任を問われないよう、食品の「賞味期限」同様の措置が、建築物についても、そろそろ必要になってきたということなのかもしれない。
以上は、記事のあらかたの内容だ。
100年住宅だ!、長期優良住宅だ!の・・・と謳っておきながら「30~50年後には必ず取り壊すということを条件に」?
怖くて安易な気持ちでは設計・監理という仕事を手掛けられないと思う。
巷の住宅雑誌には、未だに満足な手すりのないもの、隙間が大きかったり足掛かりになる横桟だったりの危険な住宅が氾濫している。
建築基準法の安全確保がされてないのだから建築確認が下りないとか検査が通らないとかすればよいと昔から思っているが全然改善がされない。
まぁ、刑事事件ともなると『建築確認』のお墨付きなんて屁の役にも立たないことが今回の事件でわかったのだ。
私は昔から、こうした見てくれだけの設計は嫌いだったので、耐震性を含めて安全上の配慮をした設計を心掛けてきた。
昔勤めていた設計事務所は、個人の大工さんから工務店、住宅会社、建設会社から依頼されて建築確認申請を行っていた。
以前は完了検査を受けることが必須でなかったために、随分と危ない橋の片棒を担がされた。
法律に触れること、建築主の利益に反することetc.…
当たりまえのように行われているのがこの業界!
中間検査や完了検査を受けていようとも未だにそれを掻い潜って行われ続けている。
それは建築主の要望であるときもあり、建築主にわからないところでものある。
どんなに表向きキレイな業者でも、ハウスインスペクターに(欠陥)住宅の調査業務を依頼してみたらイイ!
あるは、あるは・・・
次から次へと調査結果報告書に目を通すのもたいへんなぐらいに出てきますから・・・
ただ、どんなに法律どおりに、建築主の利益に反しないようにと心掛けていても、人間には間違いは付き物です。
建築確認だって時々は間違っていても通ってしまうことがあります。
また、設計者は現場の工事監理者でもあります。
だけど、各工程をくまなく朝から晩まで毎日工事にミスがないか張り付いて監視していることは事実上不可能です。
仕上がった工事の出来栄えをくまなく検査したところで、内部に隠れた作業工程の隅々にまでチェックのしようがありません。
私は、そんな悪癖から抜け出したく、住宅会社などしは惜別してシガラミのないところで、
つまりは、直接建築主さんから設計の依頼を請けたり、
法律どおり、決められたとおりに施工を行ってくれる個人の良心的な大工さんを相手に設計事務所稼業をしている。
そのうえ私は、そそっかしい間違いを犯すことがあるのでずっと“建築家賠償責任保険”にも加入しているが、賠償はカバーできても四半世紀の前の設計・監理の罪を問われるとしたら建築士という職業はよほどの重責なのだなぁと改めて戒めなければならない。
私にも、以前勤めていたころの設計・監理物件で事件・事故が起こったなら、いつ何時パトカーが逮捕に訪れるのか?・・・怖い!怖い!
話はどんどん反れてしまうが・・・
それにしても、ハウスメーカー・住宅会社などで働く大工さんたちの話をよく耳にする。
そこで設計・監理にあたっている社内、あるいは外注の建築士さんたち!
さしたる給料、あるいは確認申請料(報酬)貰っていないはずなのに、よくもそんな危ない橋を渡り続けているものだ!
勇気があるなぁと関心してしまう。
いくら生活の為と言っても、親が逮捕される姿を子どもに見せるぐらいならと…家族を貧乏生活に巻き込んでいる。
例えば、住宅エコポイント。
基準に満たない断熱材で代用したり、基準どおり施工しなかったら立派な詐欺なんですから・・・(現場の大工さんたちからよく耳にします。)いつ何時、別件からバレることもありますョ!(雨漏りトラブルから欠陥調査が入るとか…)
(建築主から調停や裁判を起こされる時、施工者と設計・監理者はセットで訴えられるのですヨ!)報酬の多寡に関わりなく!
アブナイ業者と縁を切った私の年収のほうが少ないが、建築主さんに嘘はつけない!から
アブナイ業者にも言い分はあろう。
値引き合戦のうえに受注して利益だす、あるいは損をしないギリギリ会社経費だけは確保しなければならないのだから・・・
お客様にしたら、店頭に並んだトマトよりも、農家でもぎたてのトマトのほうが美味しいと知りながら、なんでお店に行くのだろう?
お客様 = 建築主
店 = 住宅会社など
農 家 = 大工さん
安くて美味しい = 安くて良い家