どこに消えた合板②

“わらべ”

2011年03月29日 18:01



東北関東大震災で、関東のスーパーやコンビニの店頭で多くのものが棚から消えた。

建設市場でも、新建材販売社から、各種合板類や断熱材などが消えている。

輸入合板商社から震災後即3割高の納品を強いられた建材大手会社もある。


経済原理で巨大震災により需給バランスが目の前で、急激に崩れ去ろうとしており、今後の供給逼迫・高騰を見越して、建材商社、建材販売会社、ゼネ

コン・工務店、建築下請け会社が、自己防衛から在庫増に奔走している。

建築関係会社にとって、建築現場の竣工遅れ、コスト高を可能な限り抑える必要があり、必至の対応であろう。

しかし、そのコストは下請けの施工する協力業者の責任となることから、材料不足・価格高騰は一番困り果てている。

これらの下請企業の殆どは住宅着工件数のこれまでの大幅な落ち込みで財務体質が弱体化しており、一機に火を吹く可能性すらある。

当然、途中で工事を投げ出すこともできない。

下請企業はギリギリの選択を迫られる。


合板供給量は生産量及び輸入量。07年7月のサブプライムローン問題の進行から、需要減に陥り、09年の市場供給量は07年に比し27.6%減の5,124千m3。

国内の生産工場は、この間15工場閉鎖され、38工場にまで減少、生産量も25.6%減となっている。

住宅不況により住宅着工件数が落ち込み、合板の生産量や輸入量が減じるなか、建築業者や下請業者がこの間どれほど減少したのであろうか。

そうした企業が、震災での需給逼迫予想に対し、企業防衛面から購入に走ったとしたら瞬く間に建材屋から合板類が消えるのも当然のことかもしれない



また、価格も暴騰、殆どが便乗値上げである。

○〇××が、地震直後に新○△△××に対し合板3万枚予約、翌週火曜日に6千枚入荷、石膏ボード8万枚予約・・・・九州。

などなど、今後のための在庫確保による買占めや便乗値上げが現実となっている。


しかし、3ヶ月~6ヶ月も経てば、輸入量も拡大(東南アジアの協力輸出も含め)、後述のように三陸の太平洋岸で生産設備が崩壊した工場もあるが、道路復旧や電力の安定化に伴い、関東を含め国内生産も今後拡大、逼迫度はかなり落ち着くものと見られる。

ただ価格は、常軌を逸した便乗値上げ価格は別として、暫く高止まりするものと思われる(インドネシアが価格を上げてきている)。
 
それより、震災の心理的な面から、災害復旧工事は別として今年から来年にかけて、住宅着工件数が減少することが想定される。

そうなれば、買い占めた商社や建材会社などは早期に処分しなければ倉庫代ばかりが嵩むことになる。

岩手県の震災現場では仮設住宅も着工開始された。

緊急の住まいであり、プレハブ仮設住宅がまず建設され、被災者が自ら住宅を建設する分を除き、次には集合住宅が建設される。

巨大地震で多くの被災者がおり、その間はやはり2年~3年間はかかる(福岡西方沖地震参考)。

まずは仮設住宅である。

ところが、プレハブ仮設住宅製造会社に、買占め問題は大きく影響している。

震災被害を受けている方の1日も早い生活回復を願う者として、買占める者は、非国民であり、断じて許されるものではない。

上場企業まで反社会的な行動に出ることがないよう祈るばかり。


プレハブ仮設住宅会社 ⇒プレハブ住宅協会(この中でも仮設住宅会社が主となる)

http://www.purekyo.or.jp/1-4-1.html

震災で何らか影響を受けていると思われる合板生産工場(電力外、判明分のみ)

<岩手県>
 ホクヨーグループ甚大な被害
  (http://www.hokuyo-group.co.jp/press/press_20110317.pdf
   ホクヨープライウッド大船渡工場
   岩手県合板組合宮古工場(ホクヨー関連)
   北日本プライウッド大船渡工場
   大船渡プライウッド

<宮城県>
 西北グループ甚大な被害
  http://www.seihoku.gr.jp/press20110317.pdf

セイホク石巻第1・第2・第3工場及びパーティクル工場
西北プライウッド

石巻合板工業 西浜工場(甚大な被害)

東京ボード工業石巻工場(西浜町1-16)

<福島県>
小名浜合板 パーティクル工場(永大産業系)

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