設計事務所は、頂戴する報酬(設計料・監理料)の割りに重い責任を担っています。
(耐震偽装のように、一建築士だけでは責任(賠償)を負いきれない場合も・・・)
建築費用の10%にも満たないような報酬金額で、建築物全般の設計・監理責任を負い、ある時は人命の責任を負うこともありますから、デザイン優先や建築主の要望ばかりを聞いていられるものではありません。
(現実には、建築主は施工業者と設計から施工の打ち合わせを行うケースが大半なので、建築確認申請などの手続きを下請けとして行う設計事務所が数多くあります。その場合の報酬(確認申請料)は2%にも満たないのではないでしょうか?)
自治体の建築審査や民間確認検査機関などで建築確認申請のチェックを受けていますが、数ある申請物件を短時間で審査していますから、人為ミスを起こさない様な措置が講じられてるとは云え万全であるとは云えません。
(2010/10/30名古屋高裁 構造計算書偽造を見逃した行政の賠償責任を問わない逆転判決が下りた。)
誤って起きたミスの場合、補償はどうなるのか?
(故意の耐震偽装のような事件は論外)
『設計・工事監理業務委託契約書』の『設計・工事監理業務委託契約約款』では、“設計及び工事監理の瑕疵”の条項があって、設計責任の上限は設計料の範囲内となっている場合があるようです。
瑕疵の内容(賠償額)が設計監理報酬額を上まわっても、道義上は別として賠償義務を負わないというような・・・
(“ゆうゆうpapa”の作成する『設計・工事監理業務委託契約約款』では、賠償責任の範囲は甲乙協議して定めるとしています。)
しかし、これを知っては設計事務所に大枚をはたいた住まいの設計を依頼する気持ちになれないでしょう。
(ここでは、設計事務所を選んで住まいづくりをされる場合で、施工業者主導の住まいづくりはそれ以前の問題です。)
“ゆうゆうpapa”は、万一間違いによって瑕疵を発生させてしまった場合、極力建築主様にご迷惑の掛からない様に『建築士事務所賠償責任保険』に十数年前より加入しています。
(幸いに未だ事故はおこしておりません・・・。)
この制度は、設計・監理業務のミスで建物の壊れるなどの事故が発生し、建物や人に損害を与え法律上の賠償責任を負った場合に、建物の補修費用等を補償してくれる保険です。
建築主の財産を保全するだけでなく、設計・監理報酬を上まわる賠償責任から建築士も守られるのですが、意外と加入する設計事務所は多くないようです。
最近は建築紛争が際立って増えているらしく、富士ハウスやアーバンエステートのように自転車操業の施工業者が多くなっていることから、施工業者と合わせ設計・監理者まで賠償責任を問われるケースが多くなっています。
ところが、アーバンエステートのように会社をつくっては潰すようでは賠償能力などあるはずもありません。
また、その下の下請け設計事務所では、確認申請の件数の割には雀の涙ほどの確認申請料しか施工業者からもらってなくて、『建築士事務所賠償責任保険』にも加入しているはずもなくて賠償を受ける望みも薄いというものです。
一般の消費者には耳を疑われるかもしれませんが、最近の断熱材不足の影響で施工業者がつぶれるほど建築を手がける会社は大小を問わず切羽詰っているところが少なくありません。
これから、お住まいを建てられる方へ
施工業者を選ぶにあたっては、『住宅瑕疵担保責任保険(構造と水漏れ限定)』や『住宅完成保証制度』への加入の有無だけでは、免責等あって万全ではありません。
合わせて、建築確認申請を行う建築士(社内の場合と外注下請けの場合があると思います。)が『建築士事務所賠償責任保険』に加入していることを確認する事をお勧めします。
それプラス、第三者検査を依頼されば万全に近いでしょうか?
(第三者検査とは、住宅瑕疵担保責任保険の検査とは別のものになります。瑕疵保険の保険料の数倍の報酬額になるかと思いますが、より詳しい的確な検査報告をしてくれるみたいです。被害を被ってからでは遅いので、決して高くはないはず!)
“ゆうゆうpapa”の立場から言わせてもらえれば、お住まいをお考えになる時には『建築士事務所賠償責任保険』に加入している設計事務所の門を叩かれることをお勧めしたいのですが・・・
設計事務所の敷居も、高いところばかりではありませんから・・・